【イベントレポート】看護教育の現場におけるVRの有用性を実感「第43回日本看護科学学会・学術集会」ランチョンセミナー
導入実績 — 医療教育

導入事例:第43回 日本看護科学学会・学術集会

【イベントレポート】看護教育の現場におけるVRの有用性を実感「第43回日本看護科学学会・学術集会」ランチョンセミナー

【イベントレポート】看護教育の現場におけるVRの有用性を実感「第43回日本看護科学学会・学術集会」ランチョンセミナー

AMED研究事業

2023年12月9日・10日の2日間、山口県下関市の「海峡メッセ下関」で「第43回日本看護科学学会・学術集会」が開催されました。ジョリーグッドは初日となる9日にランチョンセミナー「看護実践教育の強化に向けたVirtual Realityで新たな看護教育へのアプローチ」を共催し、多くの方々にご来場いただきました。その様子をご紹介します。

本セミナーは、ジョリーグッドが採択されたAMED研究事業「外傷診療におけるVR遠隔臨床学習プラットフォームの構築」にかかる内容となります。

採択事業詳細:https://www.amed.go.jp/koubo/07/01/0701C_00007.html

VRセミナー概要

テーマ:看護実践教育の強化に向けたVirtual Realityで新たな看護教育へのアプローチ
開催日:2023年12月9日
会場:海峡メッセ下関(山口県)

[演目]
①VRを活用した新人看護師多重課題研修(国立がん研究センター東病院看護部)
②筋ジストロフィー患者の体位変換・体位調整(独立行政法人国立病院機構新潟病院看護部)
③プロジェクトの基盤となるVR技術について(株式会社ジョリーグッド)
[登壇者]
座長:栗原 美穂(国立がん研究センター東病院看護部)
演者:村田 長子(国立がん研究センター東病院看護部)
演者:齋藤 美紀(独立行政法人国立病院機構新潟病院看護部)
演者:細木 豪(株式会社ジョリーグッド)

「看護のサイエンス&アーツ」をテーマにした大規模な学術集会

日本看護科学学会は、「看護学の発展を図り、広く知識の交流に努め、もって人々の健康と福祉に貢献する」ことを目的に設立され、現在では9000名以上もの学会員が所属する日本最大の看護学会です。

今回の学術集会のメイン・テーマは「未来を拓く看護のサイエンス&アーツ:伝統と革新の融合」。故日野原重明医師が提唱した「看護のサイエンス&アーツ」を踏まえ、看護学の発展に不可欠である伝統の継承と変化の融合について広く学術的交流を図るというものです。先端テクノロジーを活用して医療の未来に貢献したいと考えているジョリーグッドとも、非常に親和性の高い学術集会となりました。

ランチョンセミナーの会場は山口県下関市の「海峡メッセ下関」。国際会議場の他に関門海峡や巌流島を一望する「海峡ゆめタワー」などを備えた複合施設で、朝早くから大勢の来場者で賑わいを見せていました。

会場には早くから来場者が並び、セミナーへの興味の高さが伺われました。

セミナーが開催される大会議室の前には、開場を待つ来場者の列が。セミナー登壇者の先生がたもやや緊張の面持ちで最終ミーティングに臨み、ジョリーグッドのスタッフもVRゴーグルやランチの用意など事前準備を急ぎました。

最終の打ち合わせを行う登壇者の皆さん。真剣な中にも和やかな雰囲気。

セミナーで使用するVRゴーグルの動作確認を急ぐスタッフ。

ジョリーグッドの新しいプロジェクトを紹介

今回座長としてセミナーを進行してくださったのは、国立がん研究センター東病院看護部長の栗原美穂先生です。

座長を務めてくださった国立がん研究センター東病院看護部長の栗原美穂先生。

セミナーではまずジョリーグッドの細木豪より、ジョリーグッドがVRとAIというテクノロジーを活用し、全社を挙げて医学・看護の課題への寄与に取り組んでいること、医療VRコンテンツが定額で体験し放題のサブスクリプションプラットフォーム「JOLLYGOOD+」を構築していることをご紹介させていただきました。「JOLLYGOOD+」は現在、全国34県の80施設のご協力をいただいており、VR研修ツールの公開本数は600本まで到達しています。

細木よりジョリーグッドのVR技術とサブスクリプションプラットフォーム「JOLLYGOOD+」について紹介させていただきました。

「多重課題」の研修にVRコンテンツを活用

次に、国立がん研究センター東病院看護部の村田長子先生が登壇。VRを活用した「多重課題」の研修について、背景と目的のご説明のうえ、実際のVRコンテンツをご紹介いただきました。

「多重課題」の研修にVRを活用している国立がん研究センター東病院看護部の村田長子先生。

多重課題とは、看護師が複数の事案の対応を同時に求められる状況のことで、新人の看護師が直面する課題の一つです。村田さんたち国立がん研究センター東病院看護部が制作したVRでは、4名の患者さんから「退院の相談をしたい」「痛みがひどい」といった訴えや、点滴のアラーム、トイレ付き添いという対応を同時に求められ、新人看護師が混乱するという場面が再現されていました。

患者役を演じているのは同病院のスタッフさんだそうですが、リアリティあふれる演技を360度で見るVRコンテンツはかなりの没入感です。体験する来場者も多くは看護師であり、同じような経験があるのか、うなずきながら視聴する姿も見受けられました。

4名の患者への対応を同時に求められる多重課題の再現シーンを注視する来場者の皆さん。

コンテンツでは続いて、同じ状況を先輩看護師が同じ状況に置かれた場合をシミュレーション。これにより、研修者はどのような対応が望ましいかということも追体験することができ、課題解決へのイメージを明確にすることができます。

村田先生が行った研修では初めてVRを体験する新人看護師も多かったとのことですが、「360度の映像がリアルで場面が想像しやすく、患者さんの反応を実際に見ながら対応することがとても大切だと気付けた」といった感想が寄せられ、満足度の高い研修となったそうです。村田先生は、「多重課題をリアルに再現できるVRを教材に活用することは非常に有用であり、看護教育の発展につながるのではないか」と締めくくりました。

「多重課題」のように実際に体験して学ぶことが難しいテーマには臨場感あるVRが有用だと語る村田先生。

VRで筋ジストロフィー患者の目線を体験

続いて、独立行政法人国立病院機構新潟病院看護部の齋藤美紀先生から、筋ジストロフィー患者の体位変換・体位調整についてのVR教材のご紹介と講義がありました。

筋ジストロフィー患者の体位変換・体位調整をテーマにしたVRコンテンツを発表した斎藤先生(左)。

運動機能障害を主症状とする筋ジストロフィーは進行性の疾患であり、自律的に動くことが困難で、他者の援助を必要とします。そのため、患者に寄り添い、良い個別性の看護ケアが求められますが、患者さんによって一人ひとり状態は異なり、手順書だけでは具体的なケアを学ぶことは難しいのが実情です。体位変換・体位調整においても、「1ミリの世界」が存在するといわれるほど、ミリ単位の繊細で多様な個別性に対応しなければいけないと、齋藤先生は語ります。

村田先生も筋ジストロフィー患者の目線やベテラン看護師のケアを360度で体験。

しかし、その1ミリの世界を厳格に言語化することは困難です。そこで齋藤先生はVRに着目。実際の患者さんのご協力を得ながら、体位変換・体位調整における悪い例や、ベテラン看護師による良い例を再現するとともに、看護師の心の声を場面ごとに組み込むことで、患者さんの1ミリの世界を体感し、看護実践の場面で生かすための教材を作成されました。

神経難病の患者さんは自分ではできないことが多いため、看護師は細かい要望への対応が求められ、ときにはそれをわがままだと感じて負担に思ってしまうこともあり得ると齋藤先生。しかし、VRを通して患者さんの目線を体験することで、患者さんにとっての“当たり前”の感覚を知り、なぜそのような要求が生まれるのかを理解することができ、今後のケアに生かしていけると言います。

「看護教育におけるVRの可能性はまだまだ広がっていくと楽しみにしています」という言葉に、来場者も共感の表情を浮かべていました。座長の栗原先生からも、「VRだからこそ、ベテランの看護師がどういう思考や姿勢でケアをしているのかが分かり、ミリ単位のケアが患者さんとの間の信頼関係につながることを実感しました。非常に貴重なコンテンツだったと思います」との感想が述べられました。

「患者さんの“当たり前”を知ることがミリの世界のケアにつながる」と語る齋藤先生。

より使いやすく有用なVRプラットフォームを目指して

村田先生・齋藤先生の講義の後は、登壇者によるパネルディスカッションへ。「医療現場におけるVRの活用」と「超高齢化社会が進む日本の医療課題」という二つのテーマについて、意見を交換しました。

パネルディスカッションの冒頭、日本医科大学におけるVRの活用事例を細木からご紹介しました。

「VRの活用」については、齋藤先生から「小児病棟の患者さんなど、ゲームや動画に慣れている世代に対して、VRコンテンツを使って検査前の予習などをおこなってもらうのも有効ではないか」という意見が。また村田先生からは「患者さんからは看護師の行動がどう見えているのか、患者さんの目線でのVRコンテンツがあれば、新人看護師だけではなく看護師全般に役立つと思う」といった意見が寄せられました。

パネルディスカッションでは超高齢化社会へと進む日本の医療の課題についても意見交換。

また、超高齢化が進む未来の日本では、医療従事者不足からすべての患者に医療が行き届かない可能性もあり、医療を病院の中から外へとタスクシフトしていく必要も生じます。「一般生活者も医療を学べる環境は必要か、そこにテクノロジーはどう貢献できるか」という細木の問いかけに対し、村田先生は「病院から在宅医療へと変わる患者さんが増えるなか、何が必要でどう対応すればいいかを事前に学べるVRコンテンツを用意し、地域や家庭と連携して準備を進めることが期待できる」と村田先生。齋藤先生からも、「今後は神経難病の方たちも在宅で過ごすことが多くなっていくため、そういったコンテンツは非常に求められるのではないか」と賛同されていました。

最後に細木から、ジョリーグッドが新たに発足させたプロジェクト『ひらけ、医療。』について紹介をさせていただきました。高齢化社会や医療人材の不足などから数年後には病院だけでは患者を受けきれない状況になる可能性があるという日本の医療の現状を踏まえ、「誰もが医療に参加し、あらゆる場所に医療がある未来」をつくっていくプロジェクトです。

【プロジェクトサイト】
https://jollygood.co.jp/hirake-iryou

立ち見の来場者も多かったランチョンセミナーは盛況のうちに閉会。座長の栗原先生からは、「我々看護師は日々患者さんと接している中で、『こんなものがあったらいいのに』『こういうことができたらいいのに』と感じながら、けれどどうやったら実現できるか分からないということが多いと思います。そういったときに、ジョリーグッドのようにいろいろな企業や人の力を借りることが、将来的に患者さんたちのためになることにつながると感じました」との言葉があり、サイエンスとテクノロジーが看護教育に寄与する可能性を実感するランチョンセミナーとなりました。

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