【Doctor's Story】看護の力で、患者さんの生きる力と機能を最大限に引き出したい。
導入実績 — 医療教育

【Doctor's Story】看護の力で、患者さんの生きる力と機能を最大限に引き出したい。

【Doctor's Story】看護の力で、患者さんの生きる力と機能を最大限に引き出したい。

東海大学医学部付属病院の特定看護師・救急看護認定看護師の山崎早苗先生は、ドクターヘリに搭乗するフライトナースとしての豊富な経験もお持ちです。2023年11月の「第51回日本救急医学会総会・学術集会」では、ジョリーグッド共催VRセミナーにおいてVRを活用したドクターヘリのシミュレーションを紹介してくださいました。看護の仕事におけるやりがいから愛犬たちのことまで、さまざまなお話を伺いました。

今回体験させていただいたドクターヘリのVRコンテンツは、まるで実際に乗っているような臨場感でしたね。こんなに狭い室内で処置するんだ、こんなに轟音が響いているんだと、驚きの連続でした。

山崎早苗先生(以下山崎先生)あの音を聞くだけでもリアリティがありますよね。フライトナースになるには救命センターでの経験を積むことが大前提なんですが、ヘリに乗り、あの緊迫感の中で処置を行うという状況は、やはり現場でなければ体験できません。かといってOJT(オンザジョブトレーニング)のために看護師をもう一人乗せるスペースをつくるというのはかなり難しいことです。ですから、ああしたVRコンテンツが研修ツールとしてあるだけでも、まずイメージトレーニングという部分はクリアできるのかなと思っています。

看護学校や医学部の学生さんたちの教材としても役立ちそうですね。

(山崎先生)そうですね。学生さんたちに救命救急への興味を持ってもらうこともすごく大事だと思っているんです。今日のセミナーでも話に出ましたが、医師を目指す人の数は増えても、救急医を目指す人は増えていないんですよね。看護師も同じで、やっぱりハードなイメージが強くて敬遠されがちなんです。でも、VRでああいう現場を体験すると、『やってみたい』という気持ちが芽生えることもあるのではないかと思います。

大切なのは、声なき声に気づこうとすること

山崎先生ご自身はどのようなきっかけで『看護師になりたい』と思われたんですか?

(山崎先生)大きなきっかけや理由があったわけではないのですが、看護の道を選んだのは高校生の頃です。進路を決める時期でいろいろ考えましたが、「何か人の役に立ちたい」という気持ちがいちばんにあったんですね。それから、ちゃんと資格を取りたいということ。この2つがあって、選んだのが看護師の道だったんです。

当時から人のお世話をするのがお好きだったんですか?

(山崎先生)そうですね、看護学生の頃から、自分は人に関わることが本当に好きなんだなと感じていました。学校の勉強はほどほどの成績でしたけど(笑)、実習がもう本当に楽しくて。患者さんと一対一で付き合えますから、必要としてくださるのもわかりますし、まだ学生なのにご家族もすごく信頼してくださったりして、それがすごくモチベーションになるんです。実習の度にそれを感じて、『私、やっぱり看護師でいいんだ』って確信しましたし、今でも変わっていません。

看護師になられてからは救命救急ひとすじで、フライトナースやトリアージナースとしても活躍されていますが、どれもハードなお仕事ですよね。

(山崎先生)ハードですね(笑)。でも、最初から救命救急しか知らないので、どんなに厳しい現場を目の当たりにしても、医療とはそういうものなんだと思っていたというか。そのままここまで来たという感じですね。

日々のお仕事の中で山崎先生が大事にされていることはなんですか?

(山崎先生)いろいろありますが、ひとつは“気づく”ということです。救急では患者さんの意識がなかったり、話せる状態じゃなかったりということが多く、どこか痛いのか、寒いのか暑いのか、言葉で言っていただけません。ですから、声なき声を聞いてこちらが気づかなければならないんです。

なるほど、気づくとはそういうことですか。

(山崎先生)でも、気づくと一言で言っても、こちらが気づこうと思わなければ絶対に気づくことはできません。声なき声を本当に聞こうとしているか、患者さんが求めていることに気づこうとしているか、そこが大事だと思います。もちろん、それは患者さんからの信頼につながっていきます。

それはご自身の経験から学ばれたことなのでしょうか。

(山崎先生)そうですね。とくに記憶に残っているのが、看護師になって2、3年目の頃のことです。意識はあるけれど気管挿管中でまったく会話はできない患者さんがいて、何が言いたいのか、最初は私も分からなかったんですよね。でも、少しでも理解したいと思ってずっと目と目を合わせて表情を見ていたら、だんだんと「あっ、これか」って分かるようになってきて。例えば痰を取ってほしいとか、体の向きを変えてほしいとか、そういうことを分かり合えるようになった患者さんがいたんです。

それは患者さんにとってはとてもうれしかったでしょうね。

(山崎先生)そうだと思います。その患者さんは一度退院してしばらくしてから再入院してこられたんですが、その時は挿管していなかったので普通に話せるようになっていて、私が挨拶をしたら、「あっ、あの時の!」って。まさか覚えていてくださるとは思わなかったのに、「いちばん自分の気持ちを分かってくれた看護師さんだから、すごくよく覚えています」とおっしゃってくださったんです。その時に、あぁ、こういうことだなと思いました。

山崎先生にとって大きな経験だったんですね。逆に、挫折のようなこともあったのでは?

(山崎先生)辞めたいと思ったことはありませんが、こんなに辛い仕事なのかと苦しんだことはあります。やはり2年目の頃ですが、まだ13歳の患者さんが突然亡くなったんです。順調に回復していて、「じゃあまた明日ね」って言って私が帰ってからたった1時間後に心臓が止まってしまって。すごく懐いてくれていた子だったので、ショックが大きすぎて抜け殻のようになってしまって、しばらくは何も手につきませんでした。

とても辛い経験ですね……。

(山崎先生)でも、多くの先輩が親身になって支えてくれました。きっと先輩方もそういう経験があったんだと思います。その支えがあったから、毎日の仕事の中でだんだんと乗り越えて、次の患者さんに向き合うことができるようになりました。

看護という仕事のやりがいは何か、後輩たちに伝えたい

先輩方に支えられてきたとおっしゃる山崎先生が、今はご自分が若い後輩たちを育てるお立場です。どのような点を意識されていますか?

(山崎先生)私はやっぱり患者さんからやりがいをもらってここまで続けてこられましたから、それを若い看護師たちに伝えなきゃいけないと思っています。今の看護師は、患者さんやご家族からさまざまな同意書をいただいたり、看護記録などを作成したりと、書類作業に追われてしまう部分があって、時として患者さんと向き合う時間をそちらに割かなければいけないこともあるんです。もちろんそういった業務も大切なんですけれど、私としては、やっぱりこの仕事のやりがいや面白さは、患者さんとの関わりから得られるものだと思うんですよ。

それこそ山崎先生のモチベーションですよね。

(山崎先生)そうなんですよ。それを感じられないと、若い看護師たちもこの仕事を続けていこうという気持ちが生まれてこないんじゃないかな、と。私たち看護師は、医療の技術とは違うところで患者さんの回復力を引き出すことが仕事だと私は考えているんですが、それができるのは人間と人間の関わりだからなんです。そういう部分を若い看護師に伝えていきたいし、同じように考えてくれる人たちに看護という仕事を担っていってもらいたいなと思います。

そのためには、やはり働き方改革やタスクシフトによって、看護師さんたちの業務負担を軽減することも必要ですね。

(山崎先生)はい、とても大切です。看護助手さんのように医療行為以外の面で看護師のサポートをしてくださる方を現場に増やしていかないと、これからの医療は成り立っていかないのではないかと考えています。

山崎先生も業務過多でお疲れになることが多いのではありませんか?

(山崎先生)あ、私、いろいろリフレッシュ法があるんですよ! おいしいものを食べてお酒を飲むのも大好きですし、ヨガをやったり、キックボクシングをやったり。でも、一番は愛犬との時間ですね! 家に「武尊(タケル)」と「静香」っていう2頭のフレンチブルドッグがいるんですけど、もう可愛くて可愛くて。仕事でヘトヘトになっていても、家にあの子たちがいると思うだけで頑張れちゃう(笑)。最高の家族です。

私にとっての『ひらけ、医療。』とは

ジョリーグッドでは、あらゆる場所に医療がある未来をつくっていくプロジェクト『ひらけ、医療。』を展開しています。山崎先生も「患者のいちばんそばにいる。医療をいちばん変えられる。」というメッセージを寄せてくださっていますね。

(山崎先生)はい。先ほどもお話ししたように、医療とは医師による手術や治療、あるいは投薬などで症状を改善していくことが基本ですが、看護というのは、患者さんの持っている力や機能を引き出して最善の状態に持っていくことなんですね。どんどん医療が進化していっても、これだけは伝統的に変わらないものだと思います。そこにサイエンスを交えながら、患者さんの力と機能を最大限に引き出し、回復を促す。そんな看護師の看護力が、これからの医療も変えていくことができると私は思っています。

【プロフィール】

東海大学医学部付属病院看護部看護師長。1994年、東海大学医学部付属病院に入職。救急看護認定看護師/特定看護師/フライトナース/トリアージナース

導入のご相談はお気軽に

「どのようなコンテンツがあるか知りたい」「無料体験をしてみたい」
ご要望やご不明な点については、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせする →