導入事例:日本医科大学千葉北総病院
【事例紹介】オペクラウドVRによる模擬講義を日本医科大学千葉北総病院で実施
ジョリーグッドが提供する医療教育プラットフォーム「オペクラウドVR」による「外傷診療におけるVR遠隔臨床学習プラットフォームの構築に関する研究」が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和2年度「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」に採択されました。
本事業 = 通称「オペクラウドVRプロジェクト」では、ジョリーグッドを中心に、各種制度や指針の環境構築の監修に日本医科大学付属病院を始め、日本救急医学会、日本外傷学会、日本外傷診療研究機構の3学会と提携し、全国から専門医など42名をむかえ、「VR遠隔臨床学習プラットフォーム」の完成を目指しています。今回はその実証協力施設の1つ、日本医科大学千葉北総病院(千葉県印西市)にて、AMED事業の一環として実施した実証授業(VR模擬講義)の事例をご紹介します。
VR模擬講義の流れ
2022年2月24日、日本医科大学千葉北総病院の研修室にて、オペクラウドVRを用いた第1回目となるVR模擬講義が行われました。今回は救命救急センターの上田太一朗先生が講師を務め、日本医科大学千葉北総病院の研修医の方々に向けて「VRを用いた外傷初期診療シミュレーション」をテーマに約30分のVR講義が実施されました。
講師を務めた上田太一朗先生。
VRによる学習は、既存の講義形式のトレーニングと比較した場合に「習得速度が4倍」「トレーニング中の集中度は4倍」と言われています※。 今回の模擬講義では、講義前に受講生に対して院内治療の理解度に関するアンケートを実施するとともに、講義後にもアンケートを実施し、院内治療の理解度の深まりと、VRへの期待度について集計を行いました。
※PwC US/UKの調査レポートより抜粋
https://www.pwc.com/us/vlearning?fbclid=IwAR213UAdOa1dHxnV0AusXmurUKCx3z7XSNJuUEE_aejYRtJJn9cAWuOyB0
VRゴーグル装着前に、模擬講義の狙いと各症例の概要説明が行われました。上田先生によると、VRによるシミュレーションのメリットは「テクニカルスキル手順の確認に有用」「診療の全体像の把握に有用」との説明がありました。
講師はタブレット端末を用いて映像の操作を行います。
受講生全員のゴーグルの動きがトラッキングできるため、講師はVR映像内で見ている箇所を確認し、指導できます。
VR模擬講義 実施後の声
上田先生:VRコンテンツは診療の全体像を360°撮影できているので、どのタイミングで、どのようなスピード感で何が行われているのかを把握するのに有用ですし、タブレット端末で操作しながら、注視してほしいシーンを解説できるのが便利だと思います。実際に講義をやってみて感じたのは、受講生の意識がVRの映像と音声に集中しがちになるので、どこで再生を停止して解説をいれるかは講師の腕の見せ所になると思いました。また受講生が疲れないように1コンテンツあたりの時間をどの程度にするのが適切か今後さらに工夫を重ねたいと思います。
受講生A(研修医1年目):VR映像のクオリティが高く、また音声もクリアに聞こえたので本当にその場にいるような臨場感がありました。手技に関しては実際の動きがわかるため、書籍等と比べてリアリティがあってわかりやすかったです。今までに経験したことがない症例を、上田先生の解説を聞きながら映像で見ることができて勉強になりました。私は病院実習が始まった時に現場の雰囲気に慣れるのに苦労した経験があるので、VRによって事前に疑似体験ができるのはとても良いことだと思いました。
受講生B(研修医1年目):体験したことがある手技に関しては、復習用の素材として非常に有用だと思いました。実際の治療現場では目の前のことで手いっぱいになることが多いので、周りで何が起きているのかを確認するのに役立つと思います。映像のクオリティやVRゴーグルの着用感についてもストレスを感じることはありませんでした。今回のように30分程度の講義であれば、いわゆる「VR酔い」をすることもありませんでした。
総括
第1回目となった日本医科大学千葉北総病院での模擬講義では、映像トラブルや機材操作に関する混乱もなく、無事に実証授業を終えることができました。今回はコロナ禍の影響により医学生を迎えての授業を行うことができませんでしたが、研修医の方々に受講生として参加していただき、貴重なご意見を伺うことができました。ありがとうございました!
オペクラウドVRプロジェクトでは、今後も体験学習コンテンツの拡充を図るとともにVR遠隔臨床学習プラットフォームの完成を目指してまいります。