CVIT2026 VRビデオライブでVRゴーグルを装着する参加者
導入実績 — 医療教育

導入事例:第34回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2026)

【イベントレポート】カテ室の“同じ場面”を多職種で読み解く。CVIT2026「VRビデオライブ」

2026年7月16日から18日まで、東京国際フォーラムで開催された「第34回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2026)」。会場内の一角には、心臓カテーテル室の360度映像をVRで体験し、医師・看護師・診療放射線技師・臨床工学技士など、それぞれの視点から学び合う「VRビデオライブ会場」が設けられました。

3日間で行われたのは、1日6回、計18セッション。各回は少人数で構成され、参加者が同じ臨床場面を見たあと、CVITメディカルスタッフの解説を聞きながら疑問や気づきを交わしました。見るだけで終わらず、ひとつの映像を起点に多職種の知識を持ち寄る——今回のVRビデオライブは、そんな参加型の医療教育を形にした取り組みです。

CVIT2026「VRビデオライブ」ダイジェスト

開催概要

学会:第34回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2026)
開催日:2026年7月16日〜18日
会場:東京国際フォーラム ホールE
形式:1日6セッション、3日間で全18セッション(各回最大20名)
共同開発:一般社団法人日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)・株式会社ジョリーグッド

構想は2025年11月、ジョリーグッド本社から

ジョリーグッド本社でVR映像を確認するCVITメディカルスタッフ

2025年11月、ジョリーグッド本社で行われたVR体験と企画検討

今回の取り組みが動き始めたのは、学会開催の約8か月前。2025年11月、CVITメディカルスタッフのメンバーがジョリーグッド本社を訪れ、VR映像を実際に体験しながら、カテーテル治療の学びをどう設計するか、議論を重ねました。

従来の講義やスライドでも知識は伝えられます。しかし、カテーテル室の空気感、患者入室から検査・治療が始まるまでの動き、各職種が同時に何を見てどう判断しているかを、全員が同じ像として共有することは簡単ではありません。

オフィスでのインタビューでは、360度映像なら、参加者が自分の関心に応じて左右を見渡せることが大きな学習価値として挙げられました。看護師は患者の様子を、診療放射線技師や臨床工学技士は装置やモニター、手元の動きを見る。普段は別々の視点に分かれている情報を、同じ場面に戻って共有できることが、企画の核になりました。

“ビデオライブ”は、手技の生配信ではなく参加型の体験学習

CVIT2026 VRビデオライブ会場の案内看板

ここでいう「ビデオライブ」は、実際の手技をリアルタイムで配信するものではありません。監修したメディカルスタッフがファシリテーターとなり、参加者と同じVR映像を見ながら、映像の中で起きていることを解説し、その場で問いを投げかける体験型のセッションです。

初日はカテーテル室の基本やPCIの流れ、2日目は複雑病変や生理学的評価を含む応用、3日目は職種別の役割や患者心理へと展開。ひとつの正解を覚えるのではなく、「自分ならどこを見るか」「他職種は何を見ているか」を考えられる構成にしました。

多数のVRゴーグルを準備するCVITメディカルスタッフ

各セッションに向け、機材と進行を入念に確認

全18セッション。少人数だから生まれた対話

カテーテル治療の映像をVRで視聴する参加者

VRゴーグルを装着すると、参加者はカテーテル室の中へ入り込みます。同じ映像を見ていても、視線の向きや気づくポイントは人によって異なります。だからこそ、視聴後の対話が学びを深めます。

企画に携わった千葉大学医学部附属病院 放射線部の笠原哲治さんは、会場での反応について次のように振り返ります。

「ひとつの動画から、いろいろな話題を出せます。ただ見るだけでなく、ファシリテーターと参加者が一緒に考え、それぞれの職種が何を考えているのかを話し合える。少人数だから気軽に質問でき、会話が活発になるのが良いところです」

大規模な講演では聞きにくい小さな疑問も、最大20名のセッションなら、その場で言葉にしやすくなります。笠原さんは、3日間を通して多くの来場があり、参加者がそれぞれの職種の視点から関心を持って体験していたと話します。

学習のポイントは「同じ場面」と「違う視点」

カテーテル治療は、ひとつの処置が多職種の連携で進みます。しかし現場では、自分の役割に集中するほど、同じ瞬間に別の職種が何を見て何をしていたのかを把握しにくくなります。VRなら、同じ場面を何度でも振り返り、視点を変えて見直せます。

  • 多職種連携:同じ臨床場面を共通言語にして、役割や判断の違いを話し合える
  • 新人・学生教育:実習前に、カテーテル室の雰囲気、患者入室、検査・治療の流れ、声かけを体験的に理解できる
  • ポイント学習:新人には一連の流れ、経験者には装置操作や手元など、目的に応じて注目点を変えられる
  • 振り返り:現場では見えにくかった動きや判断を、チームで同じ映像に戻って確認できる

VRは、映像を見せるだけで学習を完結させるものではありません。どこを見るか、何を問いかけるか、視聴後に何を話し合うかまで設計することで、臨床の「場面」が多職種の学びに変わります。

現場の声から見えた、次の活用可能性

市立秋田総合病院 看護部の堀井里美さんは、360度で現場を見渡せる体験に可能性を感じる一方、VRならではの見せ方をさらに磨くことで、教育効果を高められると語ります。

「職種ごとに、その職種にしか分からない手の動きがあります。実際の診療中、医師の隣に立って手元を教えてもらうことは難しい。そうした動きをリアルに見せられれば、スタッフや新人の教育にとても役立つと思います」

さらに堀井さんが挙げたのが、患者視点や、普段は見えにくい位置からの視点です。患者が何を見て、どんな不安を感じるのか。背後にいる看護師からは見えにくい場所で、何が行われているのか。360度VRの特徴を生かして視点を設計すれば、手技だけでなく、患者理解やチーム連携の教育にも広げられます。

VR視聴後に意見を交わすCVIT2026の参加者とメディカルスタッフ

視聴後はファシリテーターを中心に、気づきや疑問を共有

VRを、カテーテル治療チームの共通教材へ

今回のVRビデオライブは、学会という場でVRを体験するだけでなく、臨床現場の教育をどう更新できるかを多職種で考える機会になりました。

実習前の学生には、初めて入るカテーテル室の流れを知るために。新人スタッフには、自分の役割と周囲の動きを結びつけるために。経験者には、他職種の判断や見落としやすい手元を振り返るために。さらに、患者視点の理解や、院内のシミュレーション研修、症例検討にも応用できます。

ジョリーグッドは今後も、現場の専門家とともに「何を見せるか」「どう対話につなげるか」を磨き、医療チームが共通の場面から学べるVR教育を広げていきます。

関連情報:CVIT2026公式サイトジョリーグッド ニュースリリース
※インタビューの発言は、収録内容をもとに読みやすく編集しています。

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